
大阪松竹座7月公演
昼の部 : 「鳴神」「橋弁慶」「義経千本桜(渡海屋・大物浦)」
夜の部 : 「鳥辺山心中」「身替座禅」「女殺油地獄」
2年前の3月国立劇場で、
上方の歌舞伎役者 六代目片岡愛之助(松嶋屋)にはまり、
京阪にも歌舞伎観劇に出かけるようになった。
この愛之助、実は歌舞伎役者の家に生まれていない。
一般家庭出身で、子役から13代片岡仁左衛門に弟子入りし、
20歳の時に次男秀太郎の養子となった。
歌舞伎界では名門の家に生まれ、後ろ盾(父親)が有力者でないと、
実力があっても、若い時から良い役をやらせてもらえない。
20代の頃は役つきが悪かったし
、第一、関西には歌舞伎の公演自体が少なかったという。
30を越える頃から才能や研鑚が認められ、
次第に人気が出て、良い役がつくようになった。
この7月大阪松竹座では、
六幕のうち、最多の5役を演じることになった。
ところが月半ばに、市川海老蔵が風呂場で足をケガして降板。
急遽翌日から、代役として「鳴神」にも出ることになった。
しかも初めての役である。
千穐楽まで、主役を3幕、脇を3幕と出ずっぱりになってしまった。
「歌舞伎役者が超人的に凄い」と思うのは、こうした緊急事態になっても、
翌日までに台詞も所作もしっかり覚えて、何事も無く演じてしまう所だ。
愛之助の「鳴神」を見ることができて、贔屓(ひいき)としては思わぬ儲けものであった。
江戸歌舞伎の代表作の一つ「鳴神」を上方役者の彼が演じられるのか、
観る前は正直不安であったが、江戸の御曹司たちに遜色なく立派に舞台を勤めていた。
この役者を観るたびに、
「人生における数奇な出会い」や
「少ないチャンスを生かせるように精進し続ける大切さ」
をいつも感じさせる。
9月には同じ大阪松竹座で、
「蝉しぐれ」(藤沢周平原作)の牧 文四郎を主演する。
TVの内野聖陽、映画の市川染五郎に続いて、
舞台で愛之助がどう演じるか楽しみである。