
にぎやかな道頓堀から一歩奥に入ると、
法善寺横丁の看板がかかった細い路地が続く。
看板の文字は、関西喜劇の大御所として有名だった
藤山寛美(藤山直美の父)の書という。
早朝に歩くと、しっとりとした静けさをただよわせ、
打ち水で濡れた石畳は独特の風情を醸し出している。
法善寺横丁は、
昭和初期の人情喜劇小説「夫婦善哉」(めおとぜんざい)の舞台として知られている。
小料理屋「正弁丹吾亭」の前に、
作者の織田作之助の碑「行き暮れてここが思案の善哉かな」がある。
法善寺は「水かけ不動さん」の名で親しまれ、
その門前に小料理屋・バー・レストラン等が軒を並べてひしめき合い、
夜にはまた別の顔を見せる浪花情緒あふれる一角である。
私は大阪に着くと、必ず法善寺境内を見て回り、
線香の香りを楽しむようにしている。
猫のひたいのように狭いが、
境内をそぞろ歩くのは気持ちがいい。
その隣にあるのが、小説にも登場する甘味処「夫婦善哉」。
まだ一度も食したことがないが「ぜんざい」の他、
関西風の「みそおでん」が美味しいとのことだ。
前夜に深夜バスに乗り、
大阪なんばのバスターミナルに到着するのが朝7時ごろ。
道頓堀・法善寺横町をぶらついた後、朝食を取りながら芝居の台本を読み、
劇場の開場時間(10時30分)までの時間を過ごす。

次回は「大阪松竹座 7月大歌舞伎」について、簡単にコメントをします。